namiguro’s diary

健康とお金を大切に

節約生活「ラチェット効果の罠」

自衛隊に入隊して1年目の頃、ある先輩から聞いた話を時々思い出すことがある。


「俺が自衛隊に入隊した頃、同期のメンバーたちと賭けをした。それは、今日から1ヶ月間、1番お金を使わなかったやつが優勝、メンバー1人ずつから千円をもらえる、というゲームだ。もちろん如何様はなし。俺は1ヶ月間、仕事が終わるとひたすら筋トレとランニングで時間を潰した。そうすれば遊びに使う時間も体力もなくなるからだ。水分補給は常に体育館の冷水機を使って凌いだ。1ヶ月が経とうとする頃、1度だけ自動販売機でジュースを買った。それで1ヶ月間で130円、そのジュース代だけだった。俺は優勝する自信があった。けど、更に少ない80円ってやつがいた。そいつは切手を買っただけ。スゴいやつがいたもんだ。そいつは服も買わないし、外食もしない。休暇中もどこにもいかない。そんなやつだった。結局そいつは3年勤めて辞めてったけど、その間に500万貯めてたんだ。お金を貯める方法は、収入を増やすんじゃなくて、いかに1円でも使わないようにするか、なんだよ。収入を増やすのはそう簡単には出来ないけど、使わなきゃ勝手に貯まっていくからな。」


給料が増えないと貯金は出来ない。
給料が増えてこそ初めて貯金に回せる余裕が出来る。
そう思い込んでいた当時の私にとっては、面白話の1つに過ぎなかった。
もちろんこの話は極端な例ではあるが、ただ収入が増えたところで、貯蓄が出来るようにはならない。
「ラチェット効果」という専門用語がある。「ラチェット」とは「歯止め」という意味であるが、国語辞典での意味としては「物価が上昇して実質的な購買力が低下したり、増税などで可処分所得が減少したりしても、消費者がそれまでの消費水準を維持しようとすること」とされている。
つまり、給料が下がったり、商品の価格が上がったりした状況でも、人は今の生活水準を維持しようとしてしまう。
給料が1万円下がったから、食費と交通費を5千円ずつ下げる、ということは、実質できないようになっているのだ。
私が浪費をやめられず、定積が意味をなさなかったのは、まさにこのラチェット効果の罠にはまってしまったからだった。
一晩で10万円を使うことは簡単にできるが、1ヶ月で1万円の節約をすることは至難の技だ。
そして一度上げてしまった生活水準は、そう簡単に元に戻すことはできない。
私はまだ、早い段階で気づくことができて幸運だったのかもしれない。